■ 耳鼻咽喉科の病気とプール

夏になり、プールに入る機会も多いと思います。
プールに入ることの功罪は?
近年の健康・運動ブームで、季節を問わずスイミングあるいはウォーキングする方が増 えています。幼稚園、学校ではプール授業も始まっています。これは健康増進・保持のために有効であることは広く認められています。しかし、プールに入ることで、耳鼻咽喉科や眼科などの病気を発症したり、悪化することがあります。汚い海で海水浴をすることも同じです。プールに入って良い面は、心肺機能、筋力、体力を増進し、免疫機能を高めてくれます。悪い面は、プールの水質を保つために用いられている塩素系消毒薬が鼻・のどの粘膜を刺激し、ひいては耳の粘膜にも影響をおよぼします。もちろん、眼の粘膜も刺激を受けます。また寒いときにプールに入ることでカゼをひくことも考えられます。
プールの水が耳に入って、中耳炎を起こすとよく聞きますが?
プールの水、風呂の湯が耳に入って中耳炎になることは、鼓膜にアナが空いていない限り先ずあり得ません。耳に水が入って、耳が痛くなる場合はほぼ外耳炎、鼓膜炎によるものと思います。耳あかがたまっているために炎症を起こしたり、水が入ったからといってむやみに耳掃除をしたりするとお外耳炎を起こします。耳の中に頑固に残る水は耳鼻咽喉科で取ってもらった方が無難でしょう。プールに入る前は、耳あかのチェックも必要ですし、子供さんが学校健診で耳あかという結果をもらってきたら耳鼻咽喉科で必ず取ってもらって下さい。泳ぐときは、可能であれば耳栓をおすすめします。
プールに入って中耳炎を起こすのはどの様なときですか?
中耳炎は、鼻あるいは咽頭(のど)に炎症があるとき、鼻と耳をつないでいる管→耳管を通して中耳に感染が引き起こされると理解して下さい。前に述べたように、塩素系消毒薬の刺激で鼻の粘膜に炎症がおこります。それが誘因となり、耳管を通して中耳腔に炎症が波及し、中耳炎を起こすことになります。
プールにはいると鼻がつまる、という人がいますが?
はい。特にアレルギー性鼻炎の人は、消毒薬の影響で鼻づまりがひどくなります。
どのような耳の病状の人はプールを避けた方がよいのでしょうか?
先ず、急性中耳炎、慢性中耳炎で膿が出ている人、耳鼻咽喉科で鼓膜にまだ赤味があるといわれている人は絶対にやめてください。外耳炎、鼓膜炎などでまだ痛みがあり、炎症が残っている人もダメです。問題なのが、滲出性中耳炎・耳管狭窄症の人です。中耳に浸出液が溜まったり、耳管の機能が悪い場合です。昔は、この疾患の人は、プールは絶対ダメという時代がありましたが、近年では状態によってプールにはいっても良いという方向です。かかりつけの耳鼻科医と相談して下さい。余談ですが、耳抜きがうまくできない人は、スキューバーダイビングをしない方がよいでしょう。中耳炎で、鼓膜にアナが開いていても、炎症が治まっているようであればプールに入っても結構です。しかし、可能であれば耳栓やスイミングキャップを着用してください。
鼻の場合はいかがでしょう?
急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎=蓄膿症の活動期で、膿が出ている時、汚い鼻水が出ている時はプールに入ることは控えて下さい。中耳炎の原因にもなります。慢性副鼻腔炎でも安定期で膿が出ていなければプールは可能です。急性鼻咽頭炎、即ちカゼの時はやめてください。アレルギー性鼻炎の人は、消毒薬の刺激により症状が悪化することが大いにあります。鼻づまりが主な症状のタイプの人は、プールは好ましいものではありません。治療を受けながらのプールがよいと思います。
スイミングスクールやフィットネスクラブで水泳をする時は、耳鼻科で事前にチェックをしてもらうことも大切ですね?
はい。子供さんの滲出性中耳炎などは、痛みも少なく少し聞こえが悪い程度で親が全く気付かない時があります。この場合、少し鼻水が出た程度でも急性炎症をおこし、夜中に耳が痛くなったりすることがあります。耳あかもチェックが必要です。プールに入る前には、耳鼻咽喉科のチェックをお願いいたします。
耳・鼻の病気はプールと大きな関わりがあるのですね?
耳・鼻の病気に対して、プールはあまり良くないことは確かです。昔のように絶対禁止という時期がありましたが、最近は考え方が大きく変わって来ました。かかりつけの耳鼻咽喉科医とよくそうだんをして、夏の楽しみである水泳、海水浴、また健康のためのスイミングを満喫して下さい。

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